第二章

「協同」(コーオペレーション)と共同体(コミュニティ)は初期社会主義者達の追い求めた、ユートピアに於いては、人々の共同生産を媒介に結びつけられ、自己完結する一体として、想定されていた。

だが、これら初期社会主義者達の実践が挫折した後、資本主義と謂う巨大な怪物の胎内に、この強調と謂う理念は、「協同組合」が企業体の中で、生き永らえ、やがてその活動は舞台から生産を排除して、流通を基軸に、共同建設・共同生産の試みにて消滅して行った。

モンドラゴンの実験の原動力となったのは、様々な生産活動に従事する、労働者の協同組合であり、それを生み育てたのは、強烈なる政治、経済、社会、文化的一体感に支えられた、バスクと謂うコミュニティに、他ならなかったのである。

アリスは学校教育を通じて、日頃から考えていた、社会改革の考え方を広めて行く。つまり労働者の主人公となって、社会を運営して行く。具体的にはモンドラゴン地方に在る、工場自体を労働者が主人公となって経営をする事の重要性を説きはじめる。

キリスト教の義に基いて人間性の尊重と、そして人間が主人公になる、社会の仕組みというものが説かれたモンドラゴン協同組合は、ウルゴールで生れ、此処から大きく育って行った。そして今でも尚、全体の運動が協同組合の実験と、呼ばれているのである。

内部運営規約の第一章には、「生産の全体性に於いて、人間の労働がその尊厳さに基づき、特権を出来るようにし、その他の全ての要素を、構造的に従属させる。」然し資本主義の中で原則に於いては、全く異なった方法で競争し、生き残り、拡大し、発展して行く上で幾つかの困難に直面した。

   ★発展のための財政、資金不足。
   ★協同組合員である、労働者の収入に対する保証の欠如。
   ★各々協同組合員に必要とされる、技術的水準の欠如。

等がそれで、此処でアリスは銀行、しかも協同組合全体の指導機関となる、労働人民金庫を設立する。

基本組織

①総会
(そこに働く労働者全員が、出資者であり組合員である。従って全労働者の集会とも云えるもので、最高決議機関で一人一票となっている。)

②理事会
(総会の中で、選出され3~12人で構成される。任期は4年で半分が2年づつ交代する、日常管理の最高の機関である。)

③マネージャー
(理事会によって最低4年間任命される。日常運営の責任を持つ。)

④監査役会
(通常3人で構成されている。決算書を文書の監査を行なう。)

⑤社会委員会
(モンドラゴン協同組合の特色ともいうべきもので、理事会から一定の権限委譲を受けて、労働者の福利厚生、労働条件、政治問題等を論議する。)

組合数

労働人民金庫(114)中央組織(3)生産協同組合(85)農産加工組合(6)教育労働組合(43)信託協同組合(14)サービス協同組合(2)


モンドラゴン協同組合の、組織の第一の原則は、そこで働く労働者、職員が主人公であるという事である。従って労働者、職員は全て組合員でなければならない。

経営参加と民主主義、そして官僚主義と闘って行く道について、モンドラゴンの人々はユーゴの労働者、自主管理システムから多くを学び、労働者評議会によく似た労働者、職員の社会委員会を発足させた。

イギリスに於いて、生産協同組合は発展しなかった。理由として必ずや資金的に行き詰まり、困難に遭遇する。その場合に外部からの資金を導入するようになる、その瞬間から外侮資本によって、協同組合の本質が崩れて行く。

二つ目は働いている人達が出資者であり、経営者であるという形は一定に限られた人数の企業であって、そこで働く人達が定年退職等で辞めて行った場合に、新しい人達が入って来ない場合はその基盤自体が崩れて行き、協同組合の本質を失って他企業に売り渡されていく。

問題点

①ヨーロッパを覆うインフレと失業、景気の後退、生産した耐久消費時が、果たして今後も同じような形で、売り続けて行くか。

②今後も労働運動の関連に於いて、何時までも労働組合とは関係なく、労働者であり、所有者であるという形は、全体の労働運動の中で、売り続けて行くか。

③政党との関係。

④労働争議が非常に頻発する地帯の中で、果たして今後も協同組合が、本当に耐えて行けるか。


労働者生産協同組合は、農協と同じく生産者の協同組合だが、農民と違って土地は勿論、生産手段を持たない。

労働者達が僅かな出資金を持ち寄り、或は結束して国や自治体に、融資を働きかけて、協同組合を設立し、労働組合員の所有し運営する組合が、商品の生産ないしサービスの供給をする。

「我々に残されたのは、協同組合を発足させるか、それとも失業保険給付の列に並ぶかの、どちらかだった。」

アリス神父がモンドラゴンで最初に取り組んだ仕事は、教育の機会を町の青年に与える事だった。
当時モンドラゴンには、小学校以外の教育機関としては、鉄鋼会社付属の小さな技術学校しかなく、数少ない町のインテリとして、この学校で教える事も、アリスの重要な任務の一つとなった。

アリスは教会の組織と父兄を通して、資金を集めて定員を増やすよう会社と提案するが、素気無く断られる。

ここから国家にも自治体にも、どんな権威にも頼らずに住民自らが、中等学校を開校させる為の運動が始まる。
先づ住民の意志を確かめる為の、自主投票が組織される。街角に壺が置かれ、開校に賛成して金銭その他の援助をする用意のある者は、その旨を記した紙片を投げ入れた。

開けてみたら、人口8,000人の町で1/4に当る、600世帯の住民が援助を申し出ていた。1943年10月アリス神父の赴任から、約二年半月に職業技術学校が、20人の新入生で開校した。

やがて1947年には最初の卒業生を送り出す、又、スペイン政府から僅かながらも補助を受けるようになると、生徒数1,000人で計画した新しい敷地に移動する。

ともあれ、この学校開設を通じて何よりの成果は、住民達が自らの意志で僅かの資金や技術を持ち寄って、小さいながらも一つの学校を開校させた事だった。

仲良しの5人組がいた。彼等は民主主義抑圧とバスク民族主義をいう二重の手かせ足かせに喘ぐ郷土に、自分達の未来を語り合う中で、身に付けた技術を生きたものとし、その成果を住民に還元していく為には、現在の企業の構造を変える必要がある、という一致した考えに辿り着く。

「自分の達の作った学校」の卒業生に対する住民の、並々ならぬ愛情と期待、学校設立から新事業発足まで、終始若者たちを指導した、アリス神父に対する尊厳と信頼なしに、創業資金は、集められなかったし、創業もあり得なかった。

「野心的なものでも、考え抜かれた計画もありませんでした。吾々に必要だったのは、何かを始める事、立上る事、その結果がどうなるかを見届ける事でした。

モンドラゴン協同組合の、急速な発展を考える上で、無視出来ないのが、統一指導部として全組合を指導監督し、新組合設立の産婆役を勤めた、労働人民金庫の存在である。

その特色は、其の融資先が圧倒的に、モンドラゴン協同組合に集中している事だ。従って融資先協同組合のCLPを軸に、運命共同体として結びつけられて居る。

アリス神父が協調したのは、単に事業資金の確保と、謂うばかりでなく全協同組合の要となる機関の必要性だった。各協同組合が孤立したまま、バラ~に事業を続けて行く限り、モンドラゴン協同組合の、発展は望めない。

CLPの設定はモンドラゴン協同組合の発展に活気を齎した
第一に必要な資金が、安定して確保できるようになった。
第二に各組合が、強力な中央指導部を持つ事になり、組合間の連携がさらに深まった。
第三に新しい協同組合の設立が、一段とスピードアップしたことである。

「実践から離れた理論の無力な事と、職業技術学校は、協同組合原理を教える事よりも、一層協同組合的な完全をする場である。生産への強制的参加と謂う毛沢東の考え方には反対だ。学生達はそうしたくなければしなくても良い、自由が与えなければならない。

教育文化連盟の基本目標

1、教育を振興させる為、父兄教師と共に地域社会に加わる事。

2、バスクの言葉に文化を、発展させる為、共通の努力をする事。

3、地域社会での真の生涯教育を通じて、全ての者に差別なく、教育の機会を与える事。


アウゾラグンでは現在450人の女性が働いている、管理職も全て女性である。業務内容は清掃、クリーニングそれと調理用惣菜の供給サービス、利用者はモンドラゴンの各同組合とその関連施設で、各協同組合事務所の清掃を請け負い、一日1400食の惣菜を学校や病院に納めている。

組合を究極的に支配するには、一人一票制に基づく全組合員の総会だ。総会は少なくとも年に一度開かれ、理事会を選出する。

此の理事会が、一般的な意味では指導部に当り、その任務は改革決定に在り具体的な実務の執行は理事会が、さらに選出する。

常勤役員が進めるという原則になっている。双方の協議機関に管理協議会が置かれ、さらに理事会は常勤役員が、又常務役員の会議には、理事会の代表が主席する事になっている。

理事会や管理協議会が、経営を第一義的な任務とするのに対し、労働者組合の労働条件改善を、目的に設けられているのが、労働協議会だ。

協議会のメンバーは、選挙区の機能を果たす、協同組合内部の単位ごとに、組合員から選出される。

労働者生産協同組合の一つの特徴は、組合員が労働者で、同時に資本提供者と謂う点にある。

個人会計を勝手に引き出す事は、許されないし、自分の都合で組合を脱退する場合は、その個人関係の30%まで没収して、集団資本に組み込まれる規則になっている。

もちろん退職・死亡など正常な理由による脱退の場合は、それまでの個人会計と、蓄積された額は全額返還される。

モンドラゴンでは、職種の評価に賃金の支払いについて、全単協を通じて、賃金の最高と最低の最大限1対3に、抑える原則が置かれている。

例えばウルゴールの場合、職種に応じて、賃金は六段階に分かれ、中間管理職対初級作業員の1.9~2.1倍最高管理職は2.5~3.0倍を受取る。

この格差限度性は、組合員の団結を崩さないようにしたものだ。同時に最低賃金を周辺の一般企業のそれに歩調を合わせる事で、地域住民から浮き上がらないように、という狙いも込められている。

モンドラゴンの勤務評定は、それが事務管理であれ、現場労働で在れ、年功・地位の重要さなどに関係なく、只一つの基準によって規定されている。全ての職種が知識、経験、指導力などの「要素」ごとに点数を与えられ、其の総合点数に応のじて、最低の賃金を一とした場合の「指数」によって、その仕事の指数が示される。

レイオフ組合員に支給される、手当総額の50%は出資金と、利潤配当から積み立てられた。全組合員の個人資本会計から、25%は組合全体の集団資本から、レイオフ犠牲者手当を引き出す事で、全組合員がレイオフの痛みを、分かち合うという事。

モンドラゴン協同組合員の運動が、示した最大の歴史的教訓は。労働者生産協同組合は、成功しないと謂う定説を、打ち破った事に在る。

モンドラゴンの本質は「均衡」と「団結」と謂う二つの理念に集約される。

モンドラゴンの試みは資本主義企業と国営企業との間に協同組合セクターという「中間の道」を指し示した。

然しモンドラゴン協同組合も資本の支配から逃れる訳ではない・・・工業協同組合が輸入する原料、輸出する製品全てが、市場経済の新法則に左右される。

吾々が、資本主義と社会主義の中間の道を、探そうなどとしていない。吾々は資本主義経済に左右されつつ、資本主義社会のど真中で、資本主義市場に売り買いして、繁盛している、民主的な社会主義の萌芽である。

モンドラゴン型の労働者生産協同組合を、日本に設立する事が出来るか否か、(日本では、巨大独占が無数の中小企業を、幾重にも張り巡らされた、下請けの網の目に汲み込みながら、低成長下の人減らしで、相対的な強さを示している、一方で労働者生産協同組合の歴史が殆んどない。

逆に、そうした特異な状況に在るからこそ、中小企業を組織する一手段として、組合が考えられる。そして何よりもモンドラゴンの運動そのものが、協同組合運動の伝統が殆んど無かった所で始められた、事実を忘れてはならない。)

何事によらず、新しい事を始めようとする時は「そんな事が出来る訳がない」と謂う一般の常識を、先ず打ち破らなければいけないものらしい。

消費者資本主義、労働者資本主義に陥らない為には

  • 自然発生的な、互助協同精神に待つのではなくて、協同組合思想を絶えず意識的に、組合員に教育する事。

  • 日常的な経営実体と、最終的な改革決定機関と分離する事。

  • 地域(自治体)労働組合などの、外部組織と密接に連携しながら、内部各種機関にそれら外部組織の代表を参加させて、その意見を取り入れて行く事。


組合の基金と、組合員からの出資金のみ頼る古典的原則は、最早修正されるべきで、政府や自治体からも積極的に、資金援助を仰ぎ、又政府や自治体にそうする義務があると謂う、考え方が背景に成っている。

狭い組合内部の倒幕のみ捉われた「消費者資本主義」や、「労働者資本主義」に陥らず、協同組合主義で貫く為に組合員は、協同組合原則を言葉で説く事に依り、職業技術学校や学生協同組合思想を、徹底させる原動力となっている。

それまでの常識を破って、一つの方向性を示したのが、協同組合銀行による資金集めだ。既に見てきたように、モンドラゴンでは各単位協同組合が協同で労働人民金庫(CLP)を設立した。

CLPは資金集めに大きな力を発揮するばかりでなく、モンドラゴン全組合の頭脳・司令部として経営指導や新組合設立をリードした。

総じてモンドラゴンの経験は、それまでの協同組合運動で、積上げられて来た原則の正しさを、概ね確認しつつ、それまで不可能と見做されて来た、幾つかの壁が、条件と努力次第では破れる事を示した。

フランコ体制での、バスク民族主義抑圧にも拘らず、自分達の学校を通して、民族文化を守り、協同組合を通じて、中央から自立した経済で発展させよう、と願った住民の支援に在ったと云えるだろう。

生産協同組合の再生が、「第二の産業革命」を齎しつつある。「将来の選択」の中でその育成が第二の優先分野である。

CICは三つの方向が重要であると指摘した

1)急増する、世界の人に必要な、食糧生産と拡大。

2)技術革新・より良い労働組織による、生産水準の向上。

3)社会進歩と、経済発展の中心問題としての雇用。


自主管理は是までの処、小さい工程との熟練労働者の中で成功して来たが、自営管理にとって問題なのは、労働者が生産だけではなくて、企業の管理を引受けなければいけない。

其の為の技術或は実業界や市場の知識、さらに技術革新への積極的な姿勢と労働者自身、身に付けなければならない。

協同組合の柔軟性、或は分権性、紛争の減少、其れから個人の、能力の尊重問題の自覚、労働者住民の生活の質の、重要視と云った点は、生産性の増大にも、有利な前提となっている。

又協同組合では収益の大部分が再投資、即ち雇用拡大に振り向けられる得る、と云った点が、私企業に於いて配分されてしまうのと、非常に大きな違いになっている。

協同組合の最大の特色は、人間資源の有効な活用であり、労働者の参加である。この場合に非常に重要なのは「拡大された企業家精神」を創造する能力である。

協同組合は、雇用の構造的な過不足の問題に対して、労働力の移動をスムーズに進める上で、一定の役割を果している。

特に協同組合は、若い資格を持つ労働者に、就業の機会を提供しているが、組合を選択した理由として、仕事の範囲がより自由に設定できる事、自分のイニシアチブを発揮し、企業活動の全容を把握する、より大きな可能性がある事、生産の経済的・技術的条件を掌握し、専門バカにならない事を指摘している。

協同組合と国営企業との違いは、協同組合の場合には集団所有の特質としての民主的な運営価値を持っている。

協同組合は、代議員組織による総会を通じた、間接民主主義に止まらず、労働現場に出来るだけ近い所に於いて、労働者が直接参加を目指している。

其の事に依って、労働者が直接、生産計画也或は生産の組織の仕方、剰余金の処分、役員の選任などの重要問題について、実際に影響力を及ぼし、決定に参加する事が出来、全体としての生産協同組合の意志決定(総会也総代)を補完する事が出来る。


協同社会は、今後も絶え間ない革新のプロセスを続け、新しい経営と組織の要素によって、社会主義計画経済を豊富化し、労働者の自己実現の欲求に応えると共に、国内及び海外の市場の状況により、柔軟に適応する事を、可能にするだろう。

「あらゆる協同組合の中で、一番複雑でスムーズかつ成功裡に運営する事の、新しい協同組合である。」(レイドロウ)

ユーゴの事業体とモンドラゴン協同組合とを較べた場合、主として前者に在っては資産の所有が、社会に在るのに対して、後者の場合には、労働者に帰属するという点に於いて異なっている。

モンドラゴンの場合には、再投資された所得の大部分が、労働者の為に蓄積される。

周知のように、日本の経済は巨大な資本・生産力・市場占有力を誇る、一握りの独占資本と独占資本の下請け、孫下請などの形で、従属的に結び付く、無数の中小零細企業からなる、二重構造を一大特徴とし、それが社会のあらゆる側面に及んでいる。

この二重構造の、底辺支える中小企業の多くが、大企業の買い叩き、横暴な注文、資材の価格吊り上げなどに苦しめられ、毎日何十社、何十店となく倒産している。

生活協同組合は、組合員が出資して運営し、そして自ら利用するものである。それをカトリック系、キリスト教等は三位一体の原則と言っている。

そこで働く労働者は、生活協同組合の重要な構成員であるが、基本的には組合員の執行機関である。理事会から雇用されるという関係になっている。

労働者生産協同組合とは何か、基本原則から言うと、組合員が出資し、運営しそして労働するという事である。出資と運営と謂う所までは、生協と同一である。

しかし、生協の場合は組合員が、利用するという所が、労働者生産協同組合員の於いては、組合員自らが、労働するという事になるのである。

組合を所有(出資)し、自ら管理(運営)する。そしてその中で労働し、生活の糧を得ると謂うのが、労働者生産協同組合なのである。

そして、最も根本的な相違が、生産手段が前者では私有されるのに対し、後者では共同所有される事である。基本的な生産手段が協同組合の中で、共有されているのか、或は私有されているのかで、分かれるのである。

富が少数者への集中と、それによる階級社会の形成は、巨大な株式会社法人が、重要な生産的に独占するようになって以来、さらに固定化されてしまっているのである。従って組合を結成し、その生産手段を、私的所有から生産者の共同所有に切り換えても、その事は労働者が資本家になる事ではなく、あくまで労働者に止まって、労働者としての階級闘争の中から、富の少数者への集中を、社会的富として、働者階級の側へ取り戻す戦いを、組むべきであろう。

労働者生産協同組合とは、労働者が所有(出資)し、管理(運営)し、労働するという基本原則を持ち、基本的な生産手段を、共同で所有する労働者によって、構成される。

事業団は、数人からも始める事が出来る、というる観点からに立つことが大切です。今、大きく発展している事業団も、始めは数人から出発したのです。全国で始めて作られた、西宮の高齢者事業団は、始め七人の人達が学校の清掃を、請け負う事から出発しました。

労働者の自主管理=労働者管理という思想と内容を、どう生産協同組合の運動と経営に、貫いて行くか・・・と謂う事である。

労働者生産協同組合に於いては、労働者階級の一員であるという強い意識が、組合員の中に持続し、強まって行く事が大切、単なる自主管理と謂う事よりも、労働者階級としての自覚的な規律と、管理能力をどう協同組合の中に、作りだして行くのか問われる。

一般大企業のように、資本家=経営者の側から命令され、強制されて動くのではなく、労働者生産協同組合に於いては、自分達で決めたから守るのだ、自らの為に働くのだ、と謂う強い意識が要求される。

労働者階級としての、強い意識と自覚を持続させる上で、事業団内の労働組合の役割は、極めて重要である。

事業団活動の成功鍵は、労働組合運動に大きく懸かっています。労働組合は「民革」の立場で、市民に役立つ仕事、自覚的労働基準の確立、技術の向上等で、事業団の活動発展を通じて、労働者の生活と、権利を守る原則に立ち活動します。事業団は労働組合の確立と、その活動を保障します。

退潮の原因

1)労働者の平等な資格での参加であった為、全体的な統制が取れなかった事。

2)組合員の中に、肉体労働と経営管理労働の分化が起り、賃金の基準・利益の分配等に内部対立を生じた事。(S、ジイトが言うように、労働者は同僚を主人に戴く事は、資本家を戴くより一層の不快を感ずる。)

3)労働者が専門家して来ると、組合員で対応出来ず、組合員以外に人材を求めざるを得
なくなって、組織が複雑になった事である。

その外に、生産事業の移転が著しい制約を受け、組合商品のシェアが拡げて行く事が、困難であった。そして最も重要なものは組織問題であり、この点を克服出来るかどうかが、労働者生産協同組合発展の、キーポイントである。協同組合が、人と人との結合の組織である以上、此処での分離・断絶は事業運営の面で、最大の支障である。

地域と云うのは、生活の場もあれば、労働の場もある。従って地域の中で住民の協同性を追求しようと考えたら、生活の場での協同性の追求と並んで、労働の場でのそれを統一して進める事が課題であり、謂わば地域をトータルに見る視点を、根底に置くという事である。

日本は、高度に発展した資本主義だが、近代的大工業を支えているのは、技術と一定の経済力を持っている、下請け工業群である。

既に、資本制社会の利潤追求の思想では、人類存続し得ない事を悟る庶民が増えて来た事に依る、「金より生命」は全世界の労働者を中心とする、庶民のスローガンとなっている。

「知は力也、知の社会化が、力の民主化也。」(マリエス)

労働者協同組合には、何等かの事業をしたい、と思う人達が集まって共同出資し、其の事業体の中で、働きつつ、共同で管理運営する、協同組合の事である。

労働者協同組合が、単なる雇用や、所有していると謂う感覚よりも、もっと深い人間性と労働との関わりと云った、内面的ニーズにまで、触れようとすよきるものである。

即ち、肉体的労働と、知的労働の、調和を計る事の必要性、さらに最高の価値基準の中に、労働の観念を生活や、人格と不可分のものとして、取り入れることの必要性、と云った問題を提起している。

理事会も、経営者も労働者も組織の良きパートナーと考え始めるべきである。優秀な労働者は単なる雇われ者と云うより、良き〝共同者〟と思われるよう望んでいる。

住宅、貯蓄、信用、医療、食料その他の日用品、託児所、保育園などのサービスを各種の協同組合で提供する事によって、一つの地域社会を作ろうとする試みであり、老人や身障者が職住一致の中で、生活できるような地域社会を、作ろうとする試みである。そして地域内の組合員が、生産者・労働者・消費者として、それぞれ拘る事が出来る。

協同組合は、資本主義の修正ではなく、基本的な資本主義にとって、代わるものである。

モンドラゴン協同組合群は、山間の小さな町モンドラゴン(人口約27,000人)を中心に、バスク地方に点在する、各種協同組合の複合体の総称であんでる。

1,956年に第一号の協同組合となった、小さな町工場から設立されてから、約30年間で農業協同組合が8、工業協同組合が93、であった。

内訳(製鋼7、機械25、中間製品33、消費財が22、建築が6)サービス協同組合が4、関係する生徒数35,000人、消費者協同組合が1、その他に中央組織として、労働人民金庫(171店舗)共済機関、研究開発機構、教育文化連盟を持つ一大複合体に発展している。


(43 43’ 23)

  • 最終更新:2013-07-26 14:34:16

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